マンションの売却を検討中の場合、現在納税中の固定資産税はどのように精算するのか知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、マンションを売却したときの固定資産税の精算方法とその時期について解説します。
また、マンションの売却にともなって発生する税金についてもお伝えしますので、参考になさってください。
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弊社へのお問い合わせはこちらマンション売却時の固定資産税の「精算方法」
分譲マンションの固定資産税は、住戸の所有者が納税しています。
年の途中で住戸を売却したときは、購入した方が納税額を前の所有者に支払って負担を肩代わりする方法が一般的です。
マンションの固定資産税の算出方法は?
マンションなどの不動産は、その年の1月1日に所有している方が、1年分の固定資産税を納税する義務を負います。
固定資産税は地方税であり、2.1%を上限にそれぞれの市区町村で税率を設定できますが、多くの自治体が標準税率の1.4%です。
マンションは、住戸部分と敷地面積を住戸数で等分した土地が課税対象となり、固定資産評価額に1.4%を乗じる式で算出します。
算出に使用する固定資産評価額は、建物は構造や規模、土地は形状や面積などに対し、自治体が個々の基準を当てはめて決定した不動産の評価です。
また、固定資産評価額は、周辺環境の変化や建物の経年劣化を反映する目的で、3年に1回の割合で見直しをおこないます。
固定資産税を算出する日割り計算とは?
1年の途中で不動産を売却しても、その年の納税義務は果たさなければなりませんが、保有しない物件に納税するのは納得できません。
解決策として日割り計算を利用して、物件の引き渡し日の前日までを売主、引き渡しの当日分からの納税額を買主が支払うことにより、実際の所有者が負担する形にします。
日割り計算とは、1日当たりの税額を算出するために1年分の税額を日数の365または366で割って算出する方法です。
固定資産税は、一括で納税しても割引などはないため、日割り計算により負担割合が均等にすることができます。
固定資産税の起算日は自治体によって異なる?
マンションを売却した場合に日割り計算を利用する際の注意点は、自治体ごとに起算日が異なることです。
主に関東地方は1月1日が起算日であるのに対し、関西地方は4月1日が起算日になっていますが、都道府県によっては近接する地域でも異なります。
その物件がある自治体の起算日によって算出するため、必ず該当する自治体のホームページで確認しましょう。
この他、不動産会社に問い合わせるなどして起算日を把握し、公平な日割り計算になるようにすることがポイントです。
マンション売却時の固定資産税の「精算時期」
基本的に不動産売買では、売買契約を締結し、物件の引き渡しをおこなった時点で金銭のやり取りも完了します。
しかし、引き渡しの時期によっては、正確な固定資産税額が把握できないことも生じるため、精算する時期の検討は注意すべき点です。
マンションの固定資産税が把握できる精算時期とは?
多くの自治体で、毎年5月を目安に固定資産税の納税通知書が1月1日に所有していた方に届きます。
しかし、今年の納税通知書が届く前に引き渡しが完了すると、税額が変わったときに正確な税額と異なることになりかねません。
そこで、引き渡しを完了しても、納税通知書が届いてから精算する方法が便利です。
納税額が3年に1回の見直しにあたると変わることがあるため、必ず確定した金額で精算すると、売主も買主も不公平に感じることはありません。
このとき、昨年の納税通知書を基に算出した差額を精算する方法と、納税額は当初から計算せず、今年の納税通知書が届いてからおこなう2パターンがあります。
いずれの方法も、引き渡し後に再度連絡をとらなければならない点が課題です。
マンションを売却したときの精算時期と課題の解決策
固定資産税の精算では、起算日を間違えないようにします。
1月1日が起算日の自治体の物件では、売主の負担は1月1日の起算日から引き渡し日前日まで、買主は引き渡し日当日から12月31日までを負担する方法です。
4月1日が起算日の自治体にある物件は、売主は4月1日の起算日から引き渡しの前日まで、買主は引き渡し当日から翌年の3月31日までを負担することになります。
このとき、4月1日が起算日の地域にある物件を3月31日までに売買したときは、前年の納税額が対象です。
また、一括で納税済みであっても、分割で納税中でも関係なく、当事者間で精算するだけで、市区町村への届け出や手続きはおこないません。
そのため、日割り計算や参考にする税額、精算方法とその時期など、お互いが安心できる取引にすることが重要です。
そこで、売主と買主の両者が合意のうえ、固定資産税の精算に関する一連の作業を不動産会社に依頼して、引き渡しが完了したあとでも精算できる段取りを整えます。
マンション売却時に固定資産税を精算する「注意点」
マンションを売却しても、納税通知書に記載してある税額に対する義務に対する責任は果たさなければなりません。
その他の注意点も理解し、トラブルにならないよう、わからないことがあれば、仲介を依頼した不動産会社に相談しましょう。
マンション売却時の固定資産税精算の注意点①:固定資産税の差額の受け取りは還付?
実際にマンションを所有する方が納税するように調整する目的でおこなうのが精算であるため、税金の還付ではありません。
分割で納税中であっても、差額の受け渡しをおこなう点からも、税金のやり取りではないことを理解しましょう。
受け取った差額は売買代金の一部であり、マンションを売却した譲渡所得として、翌年の確定申告で手続きをおこなう対象です。
個人が不動産の売買をおこなう経験は少ないことから、譲渡所得の申告は不慣れなことも多く、面倒に感じてしまいます。
とはいえ、譲渡所得次第では所得税や住民税が加算になることもあるため、必ず確定申告をおこなって納税しましょう。
不動産会社は、確定申告のための書類もそろえるお手伝いをおこないます。
申告するのが面倒なときや忘れそうなときは、マンションの売却が完了した時点で税理士に相談して、予約する形にしておくと安心です。
マンション売却時の固定資産税精算の注意点①:必ず精算しなければならない?
納税額の差額の計算は、不動産取引における慣習であり、必ずおこなわなければならないものではありません。
このことを理由に購入を希望する方が、差額の計算を拒否する可能性はあります。
もちろん、1月1日に所有していた物件であるため納税の義務はありますが、保有していないマンションに対する税金を納税するのは損するように感じる方も少なくありません。
そこで、買主が差額の計算や支払いに応じる気配がない場合は、不動産会社に相談しましょう。
不動産取引では、細かい点の合意がなければ、売買契約は成立しません。
固定資産税の差額の計算なども含め、できるだけ従来の慣習に則した契約になるよう、不動産会社に動いてもらいます。
その際、すべてを任せてしまわず、気づいた点は質問するなど、売主も参加して取引が締結できるようにすることもマンションを売却するときの注意点です。
まとめ
マンションなどの不動産を売却するときは、固定資産税を精算して、実際の所有者が税額を負担するように調整します。
税額は日割り計算で算出しますが、自治体によって課税の起算日が異なる点に注意が必要です。
税額の精算方法や時期などは、売主と買主が合意のうえ、不動産会社に相談して手続きを任せましょう。
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