分譲マンションの毎月の支払いには、修繕積立金と管理費がありますが、この2つについて明確な違いはご存じでしょうか。
どちらも、日々の生活を快適にするために必要な費用ですが、詳しい使い方が異なります。
本記事では、修繕積立金と管理費の違いや、積み立て額の適正値をご紹介しているため、マンションの購入を検討している方はぜひご覧ください。
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弊社へのお問い合わせはこちらマンションの修繕積立金とは?管理費との違いは?
修繕積立金と管理費は、どちらも住み心地の良い生活環境を管理・維持するために必要な費用で、区分所有者がそのマンションに住んでいる間、毎月負担することになっています。
どちらの費用も使い方が異なり、区別をしっかりとつけて、経理計上する必要があるものです。
たとえば修繕積立金が不足してしまっている場合、管理費から費用を補って使用することはできません。
そのため、それぞれの使い方と違いを把握しておき、毎月の支払いをおこなう必要があります。
マンションの管理費とは
管理費とは、マンションの資産価値を維持するために必要な費用のうち、共用部の設備管理にあてる費用のことを指します。
たとえば、共用部のエレベーターの運転などにかかる水道光熱費のほか、電球などの消耗品の取り替えに必要な軽微な修繕にかかる費用です。
また、消防設備やエレベーターの点検費用、管理会社へ支払う人件費・清掃費なども含まれます。
これらは、居住者が日々快適に生活するために必要となる費用で、日常的な管理に使用するものと認識しておくと良いでしょう。
マンションの修繕積立金とは
分譲マンションは賃貸物件と異なり、区分所有者の全員が建物の所有者となっています。
そのため、マンションの資産価値を落とさないよう定期的な修繕など、メンテナンスにかかる費用を区分所有者が毎月負担して積み立てる必要があり、この費用のことを修繕積立金と言います。
資産価値を維持するためには、10年20年と長期間のメンテナンスが必要です。
老朽化に備えたメンテナンスでは、建物の劣化調査や修繕のための工事が必要となり、その費用に修繕積立金があてられ支払いがおこなわれます。
ご自身が区分所有している建物も、将来的には数千万ほどの大規模修繕が必要となることも考えられます。
もし積み立てをおこなっていなかった場合、大規模修繕にかかる費用を区分所有者がそれぞれ一括で用意することになり、費用を集めるのは難しくなってしまうでしょう。
そういった臨時の高額な負担とならないよう、毎月積み立てていく費用が修繕積立金となります。
マンションの大規模修繕の必要性
老朽化を防ぎ、耐用年数と言われる50年〜100年の長期間住み続けるためにも、メンテナンスと修繕を繰り返す必要があります。
大規模修繕は10年ほどの周期でおこなわれるもので、各部屋の排水管清掃、共用部の設備改修、屋上・外壁補修などが実施されます。
所有する建物に可能な限り長期間住み続けるためにも、定期的な大規模修繕は必要です。
マンションの修繕積立金の積立方式とは?
修繕費の積み立ては、共用部の修繕のためなど一時金として高額な修繕費が必要となることを例外として、基本的には段階増額方式と均等積立方式のどちらかでおこなわれています。
2つの方式がありますが、修繕工事が必要となった際に不足することなく修繕費が積み立てられていれば、どちらの方式で積み立てても問題はありません。
注意点としてそれぞれ積み立て方法が大きく異なっており、とくに段階増額方式では文字どおり段階的に値上げがおこなわれるため、区分所有者にかかる負担が大きいと考えられています。
修繕積立金の積立方式①:段階増額方式
段階増額方式は、10年程度の間隔で、修繕積立金が値上げされていく方式のことです。
建物は築年数が経つほど劣化が進み修繕箇所が多くなるため、修繕費用が徐々に高くなることが考えられます。
そのため段階増額方式はその時々にあわせた必要な修繕費用を、そのタイミングでマンションに住んでいる区分所有者が負担をおこなう、として用いられている積み立て方式です。
また、この段階増額方式が積み立て方式としてもっとも多く用いられていますが、その理由として販売時の維持管理費用を低く見せるためでもあります。
しかし、この方式は区分所有者が年齢を重ねるほどに、負担額が大きくなってしまう方法です。
区分所有者が年金生活者となればさらに負担が大きく、場合によっては分譲開始時の2倍以上となった積立額が支払えずに、未払いや滞納となるケースが発生してしまいます。
未払いや滞納が続き、計画どおりに修繕費が積み立てられなかった場合、いざという時に必要な修繕工事がおこなえないといった事態になる可能性が考えられるでしょう。
そのため、そういったリスクを避けるためにも、もう一つの積み立て方である均等積立方式のほうが良いとする判断もあります。
修繕積立金の積立方式②:均等積立方式
均等積立方式は、長期間一定の金額を保ったまま修繕費を積み立てていく方式となります。
段階増額方式と違い、積立額が変動することがないため、区分所有者の負担も変わることがありません。
そのため、未払い・滞納にもつながりにくく、国がすすめている積立金の徴収方式とされています。
マンションの修繕積立金の適正値とは?
修繕積立金の毎月の負担額は建物それぞれで異なっており、今現在自身が負担している額が適正であるか、個人で判断することは難しいでしょう。
修繕積立金の適正値は、国土交通省が2011年に発表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を参考にすると、目安にすることが可能となります。
マンションの修繕積立金に関するガイドライン
新築マンション購入予定者が修繕積立金に関する知見を得られるように、またガイドラインを参考にして適正な修繕費の積み立てをおこない、必要な修繕工事が実施されるようにと作成されたものです。
そのガイドラインの内容が、2021年9月に見直され、改定がおこなわれました。
見直しがおこなわれた箇所は、修繕積立金額の目安と、目安を算出するための計算式となっています。
もともとは新築マンションの購入予定者のみが対象となっていたガイドラインですが、この見直しと改定により、既存のマンションを購入済みの区分所有者・購入予定者も活用できるものになりました。
マンションの修繕積立金の適正値
適正値の目安については、居住を目的としたマンションを対象に「長期修繕計画作成ガイドライン」に沿って作られた、長期修繕計画を収集したものを分析のうえ算出されています。
また、必要となる修繕工事の費用総額を、区分所有者が持つ専有面積あたりの修繕積立金額として記載されています。
ガイドラインに記載されている目安は、機械式駐車場分を除いた場合となっており、地上階数20階未満のものの平均値が下記4つです。
●5,000㎡未満は、335 円/㎡・月
●5,000 ㎡以上~10,000 ㎡未満は、252 円/㎡・月
●10,000 ㎡以上~20,000 ㎡未満は、271 円/㎡・月
●20,000 ㎡以上は、255 円/㎡・月
さらに、地上階数20階以上であれば、平均値338 円/㎡・月となっています。
マンションの修繕積立金に関するガイドラインを参考にする際の注意点
エレベーターの有無や高級マンションであるといったさまざまな理由により、収集・分析されたそれぞれの長期修繕計画にはばらつきが発生してしまうものです。
そのため、ガイドラインには平均値に加え、事例の多くが該当するとされる「事例の3分の2が包含される幅」が記載されています。
それを参考に、自身が区分所有しているマンションのグレードや築年数を比較し「事例の3分の2が包含される幅」に該当するか、もしくは平均値に該当するか判断が必要です。
まとめ
定期的におこなわれる修繕のために積み立てられる修繕積立金ですが、毎月の負担額や積み立て方法は、マンションによりそれぞれ異なります。
長期にわたってどれほどの費用を負担することになるのか、その負担額が適正であるか確認の上、マンションの購入を検討してください。
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