将来、不動産を相続する予定のある方のなかには、相続登記の義務化について把握しておきたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どのように相続登記が変わるのかを事前に知っておくと、手立てを考えるために役立ちます。
この記事では、不動産の相続登記が義務化になった背景や対象となる項目、相続したくないときの手続きのやり方についてご紹介しますので、読んでみてください。
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不動産の相続登記が義務化になった背景
土地や建物を相続したあとの名義変更の手続きに対し、法的な強制力はありませんでした。
しかし、所有者不明の不動産が増えて社会問題を引き起こすようになったのが、法改正した背景にあります。
所有者不明の不動産とは
所有者不明の不動産とは、相続登記を済ませていない物件にくわえ、登記をおこなっていても所有者を特定できない物件も対象です。
登記簿に記載済であっても、相続後に登記していなければ実際とは異なるため、所有者不明になってしまいます。
このほか、登記申請をおこなったあと、所有者が転居すると、情報を更新できず所有者を追跡できません。
共有名義では、離婚などで氏名が変わったときなどが追跡できないケースです。
また、所有者が多すぎて登記簿にすべての所有者が記載できない「メガ共有地」も、所有者不明物件になります。
メガ共有地とは、分筆せずに共有名義のまま複数代に渡って相続を繰り返したため、所有者が増えすぎて代表者しか把握できない状況です。
所有者不明の不動産はどれくらいある?
土地に限定した場合、2016年に国がおこなった地籍調査では、所有者を登記簿で確認できなかった割合が約20%でした。
その結果、全国で所有者が特定できない割合を面積に換算すると約410万haになります。
国土交通省の追跡調査では、登記してから年数が経過するほど所有者が特定できない土地の割合が増加している点も判明しました。
所有者が不明になっている土地の割合が、登記をおこなった年から29年以内は21%ですが、30~49年経過した物件は37%、50~69年では62%と増加傾向です。
これらの結果は、相続が発生したあとの手続きに期限を設ける背景になっています。
所有者が特定できない不動産が背景にある社会問題
災害復旧工事や道路整備などの公共工事を実施する際、メガ共有地などの影響により、用地の取得ができない事例も珍しくありません。
また、所有者が明確になっていない土地は管理が行き届かず、不法投棄などにより不衛生な状況になりがちです。
建物は、不法占有者による治安悪化が、深刻な社会問題になっている地域もあります。
マンションでは、管理費や修繕積立金を滞納し続ける、大規模修繕工事をおこなう際に意志決定ができないなども問題です。
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不動産相続登記の義務化になる内容と登記しなかったときの罰則
土地の所有者不明問題を解消するため義務化になった相続登記は、登記名義人の氏名または名称、住所変更の登記の義務付けもセットになっています。
同時に、登記しなかったときの罰則も導入している点に注意が必要です。
相続登記の申請義務化になる内容
相続した不動産の名義変更登記は、相続にともなって所有権を取得した日から3年以内におこなう点が義務化になりました。
遺産分割協議をおこなった物件は、協議の成立した日が起算日です。
義務化になる項目は、住所や氏名もしくは名称にくわえ、個人の場合は生年月日、法人は法人番号が追加になります。
海外に在住している方は、親族や所属先など日本国内の連絡先の氏名や名称が必要です。
また、登記名義人の氏名や法人の場合は名称が変更になった場合は、変更してから2年以内が期限になりますが、今年の導入は見送りになりました。
この変更は贈与や売買も対象となるため、生前贈与を受けたときはご注意ください。
相続登記をしなかったときの罰則内容
相続登記をしなかったときは10万円以下、氏名や住所変更をしなかったときは5万円以下の過料です。
相続を知った日を起点とした3年以内となっているため、被相続人が亡くなったときに連絡を受けておらず、数年後に知ったときはその日から3年以内になります。
ただし、メガ共有地など関係者が多くて所有者を確定するのに時間がかかる場合や、申請義務を有する相続人が重病のときは例外です。
遅くなっても容認される正当な理由に該当するため、過料の対象にはなりません。
罰則は、申請期限を過ぎたときに法務局が催告通知をおこない、この通知を受け取ったあとも正当な理由なしに登記申請をおこなわなかったときに過料に処せられます。
相続人申告登記の創設とは?
相続登記を簡略化した申請方法であり、今回の法改正により新たにできた制度です。
遺産相続協議がまとまらないのは正当な理由になりますが、いったん相続人全員の共有名義のまま登記申請をおこない、決定後改めて手続きするのが本来のやり方になります。
そこで、相続登記の申請義務を有する方が、相続の開始と登記名義人である旨を申請する申告登記が可能になりました。
あくまでも簡易的な手続きであり、相続人が確定したあとは3年以内の登記が必要です。
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不動産の相続登記義務化でも相続したくないときの手続き方法
相続登記が義務化になったため、相続したくない方も手続きをしなければなりません。
しかし、相続したくない方は手続きをしないかもしれず、所有者不明の土地が減らない可能性もあります。
そこで、今回の法改正では、相続したくない方の手続き方法も規定しているのがポイントです。
土地所有権放棄とは?
今回の法改正により始まった、相続したくない方が登記申請をおこなわないために発生する、所有者不明土地への国の対応策です。
相続人が土地所有権を放棄すると、国庫への帰属が可能になりますが、条件付きの所有権の放棄になります。
条件とは、対象となる土地に抵当権がない、境界が明白になっている、土壌汚染がないなどです。
更地化しているのも条件であり、建物や工作物が残っている物件は放棄できません。
相続せず、国庫に帰属を希望する場合は、法務局に本人がその旨を申請し、審査を通過できたときだけです。
共有名義の場合は、所有者全員での申請になるため、同意が得られない物件は申請できません。
国庫への帰属により、相続する予定だった土地は国有地になりますが、審査手数料と手放してから10年分に相当する管理費を負担金として国に支払うのも条件です。
相続が発生する前にできる対策
相続したくない方は、土地の所有者が元気な間に、法務局に国庫への帰属を申請した際に通過できる土地の条件をクリアしておきましょう。
融資の返済が完了しているときは抵当権を抹消するほか、境界線を確定するなどの手続きを済ませます。
建物が空き家になっているときは更地化しますが、実際に居住している方がいるときは、その方に土地も建物も 買い取ってもらえないか交渉するのも有効です。
所有している不動産を把握できないときは、登記情報を確認しておきます。
未登記や相続登記をおこなっていないなどの物件があった場合は、早急に対応が必要です。
登記を済ませていない物件は、法務局の審査を通過できないうえ、さかのぼって過料の対象になるのを防げるからです。
相続登記しないリスク
相続したくない方は、所有権が放棄できなかったときに、手続きを先送りする可能性があります。
しかし、過料の対象になるのにくわえ、未登記物件は売却できませんし、融資を受ける際の担保にも使えません。
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まとめ
不動産の相続登記が義務化になるのは、登記手続きを放置してきたために社会問題化している所有者不明の土地を減らすのが目的です。
義務化になると、相続してから3年以内に手続きを済ませないと、過料に処せられます。
相続したくない方は、法務局に申請すると土地の所有権を放棄できますが、審査を通過するのが条件です。
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