中古住宅などを購入したあとリノベーションをおこない、自分好みの住宅を作り上げる方が増えています。
しかし、一部の建築物ではリノベーション時に「建築確認申請」が必要であることをご存じでしょうか。
建築確認申請が必要なケースで申請をしないでいると、さまざまなリスクがあるため注意が必要です。
この記事では、まず建築確認申請とは何かを解説したうえで、リノベーションで建築確認申請が必要なケースや、しない場合のリスクをご紹介します。
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リノベーションの前に確認したい!「建築確認申請」とは?
建築物の新築や増改築をおこなう場合、その工事内容が建築基準法などのルールを満たしているかを確認しなくてはなりません。
この確認を建築確認といい、建築確認申請とは、建築確認を申請する手続きのことです。
建築確認の流れ
建築確認申請の解説をする前に、建築確認の流れをご説明します。
建築物の新築や増改築の工事内容がルール守っているかを確認するために、まずは自治体に申請をしなくてはなりません。
建築確認の最初のステップが建築確認申請であり、建築確認申請の際に提出する書類は「建築確認申請書」と呼ばれます。
建築確認申請の手続きは専門的な知識が必要となるため、建築士に委任するケースがほとんどです。
申請が受理されると、自治体や指定確認検査機関の職員が事前審査をおこないます。
審査に通った場合のみ「確認済証」と呼ばれる書類が交付され、着工が可能です。
工事が無事に完了したら、完了検査申請をおこないます。
自治体などの職員が完了検査をおこない、完成した建築物に問題がないと判断されると「検査済証」が交付されます。
一定規模以上の建築物の場合、自治体によっては着工から完工までの間に、中間検査申請と中間検査が必要です。
中間検査に通ると「中間検査合格証」が交付されます。
このように、基本的には2回、場合によっては3回、申請と検査を繰り返し、ようやく建築物を使用できるようになるのです。
どのような建築物でも建築確認は必要?
建築確認は、すべてのケースで必要なわけではありません。
建築基準法では、建築確認が必要なケースとして以下の3つを挙げています。
●一号~三号建築物を建築しようとする場合
●一号~三号建築物の大規模な修繕・模様替えをしようとする場合
●四号建築物を建築しようとする場合
上記を見るとわかるように、確認申請が必要なケースは、一号~三号建築物の新築と増改築、四号建築物の新築です。
四号建築物の増改築については、建築確認が必要だとは定められていません。
つまり、リノベーションの際に建築確認が必要かどうかは、その住宅が一号~三号、もしくは四号建築物のどれに該当するかによって異なるのです。
一号~四号建築物にはどのような建築物が該当するのかは、建築基準法第6条に記載されています。
一号建築物とは、特殊建築物(劇場・病院・学校・デパートなど)のうち、その用途に用いる床面積の合計が200㎡を超えるもののことです。
二号建築物は3階建て以上などの大型の木造建築物、三号建築物は2階建て以上もしくは延べ面積200㎡以上の木造以外の建築物を指します。
そして四号建築物とは、上記の一号~三号までに該当しない、都市計画区域・準都市計画区域・準景観地区などにある建築物のことです。
一般的な木造2階建て住宅は、基本的には四号建築物に該当します。
なお、すべての建築物が都市計画区域などのなかにあるわけではないため、一号~四号建築物のどれにも当てはまらないケースもあります。
「四号特例」とは
上記の四号建築物に該当する建築物は、建築確認が簡略化されたり、リノベーション時の建築確認申請が不要になったりと、特別扱いを受けられます。
このような四号建築物の特別扱いを「四号特例」といい、四号特例は建築確認をおこなう職員の負担の軽減に繋がっていました。
しかし検査を簡略化したり、省いたりしたことにより、ルールに従わない四号建築物が増えてしまったのです。
そのため、四号特例は2025年4月から縮小されることとなりました。
これにより、木造2階建て住宅の建築確認申請においても、壁量計算書や構造図などの構造計算図書の提出が必要になります。
リノベーションにおいては、特例の縮小まではとくに大きな影響はありませんが、2025年4月以降は何らかの動きがあるかもしれません。
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リノベーションで建築確認申請が必要なケースとは?
四号建築物の増改築については、建築確認が必要だとは定められていないとご説明しました。
つまり、リノベーションで建築確認申請が必要なケースは、一号~三号建築物の大規模なリノベーションをおこなうケースです。
一般的な規模の木造2階建て住宅は四号建築物に該当するため、建築確認申請の必要はありません。
ただし、木造3階建て以上の住宅や、鉄筋2階建ての住宅のリノベーションを検討している場合は注意が必要です。
個人の自宅であっても、木造3階建て以上の建築物は二号建築物、鉄筋2階建ての建築物は三号建築物に当てはまります。
増築はルールが異なる
四号建築物であっても、以下のケースでは建築確認申請が必要です。
●準防火地域、防火地域外での10㎡以上の増築工事
●準防火地域、防火地域内での増築工事
ここで注意したいのが、増築される面積の考え方です。
カーポートや庇、独立した物置の増築であっても、面積に加算されます。
また増築をおこなう住宅が準防火地域や防火地域にある場合は、増築される面積が10㎡以下であっても建築確認申請が必要です。
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リノベーションで建築確認申請をしないとどうなる?
ここまでご紹介したとおり、四号建築物かつ増築のルールに該当しない範囲のリノベーションであれば、建築確認申請は不要です。
しかし建築確認申請が必要かどうかの判断は難しく、建築確認申請が必要なケースでも、しないまま着工してしまう可能性があります。
ここでは、建築確認申請が必要なケースで、建築確認申請をしないままリノベーションをおこなったらどうなるのかを解説します。
行政指導の対象となる
建築確認申請は、建築基準法で義務付けられている手続きです。
そのため、建築確認申請が必要にもかかわらず申請をしない場合は建築基準法違反になり、行政指導の対象となります。
ただし工事を中断して建築確認申請をおこなうと、リノベーションを継続できます。
工事の中止や建築物の取り壊しが必要になる
行政指導に従わないままリノベーション工事を続けると、工事の中止や建築物の取り壊しを求められるかもしれません。
これは、建築基準法違反の建築物に対し、「特定行政庁は工事の施工の停止や当該建築物の除却、移転などを命じることができる」と建築基準法で定めているためです。
刑事罰の対象となる
工事の中止や建築物の取り壊しの指示にしたがわない場合は、罰金や懲役などの刑事罰の対象となります。
ただし、リノベーション工事でここまでのトラブルが生じるケースはあまり多くありません。
火災保険を利用できなくなる
建築確認申請が必要なリノベーションをおこなうと、建築時とは間取りや面積などが大きく変わることでしょう。
建築時に保険会社に提出した書類と実際の建築物の状況が異なる場合は、いざというときに保険金を受け取れない可能性があります。
建築確認申請が必要なリノベーションの施工前には建築確認申請をおこない、検査に合格したあと、保険会社に報告しなくてはなりません。
売却しづらくなる
建築確認申請をしないままリノベーションをおこなうと、「既存不適合建築物」と認定される可能性があります。
既存不適合建築物とは、現在の法令などに適合していない建築物のことです。
既存不適合建築物は安全性が保証できず、住宅ローンの利用もできないため、買主が見つかりにくくなります。
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まとめ
建築確認申請とは、建築物の新築・増改築時に、工事の内容が法令などに違反していないかの検査をおこなうための手続きのことです。
一般的な木造2階建て住宅をリノベーションする場合、建築確認申請が必要なケースはあまり多くありません。
しかし10㎡を超える増築時や、防火地域などにある建築物の増築時には、建築確認申請が必要です。
建築確認申請が必要なケースで申請しない場合は、行政指導や刑事罰の対象となるおそれがあります。
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