被相続人の相続手続きが完了する前に、相続人の1人が亡くなってしまうことがあります。
このような状況を「数次相続」といい、一般的な相続とは手続き方法が異なるため注意が必要です。
本記事では数次相続について、概要や注意点、手続きの流れなどを解説します。
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不動産を相続する前に知っておきたい!数次相続とは
数次相続とは、相続が2回以上重なって発生している状態のことです。
たとえば母が亡くなると、相続人である父と子どもで遺産分割協議をおこないます。
しかし父と母の年齢が近いようなケースでは、両親が立て続けに亡くなることも少なくありません。
遺産分割協議が終わらないうちに父も亡くなった場合、数次相続が発生している状態です。
この場合は父の両親(祖父や祖母)も相続人となるため、子どもと父の両親で遺産分割協議をおこなう必要があります。
代襲相続との違い
数次相続とよく間違われやすいものに「代襲相続」があります。
代襲相続とは、本来遺産を相続する方に代わって、下の世代(子や孫)が遺産を相続することです。
被相続人が死亡した時に、遺産を相続するはずの法定相続人が死亡等の理由で相続できない場合に発生します。
たとえば、母方の祖父が亡くなり相続が発生した場合、相続人にあたる母親が遺産を相続するのが一般的です。
しかし相続が発生するよりも前に母親が亡くなっている場合、子どもや孫といった下の世代に相続権が移ります。
この状態を代襲相続といい、数次相続のように立て続けに相続が発生しているわけではありません。
相次相続との違い
数次相続とよく似たものとして、「相次相続(そうじそうぞく)」も挙げられます。
相次相続とは、「相次いで」という漢字のとおり、短期間のうちに立て続けに相続が発生することです。
数次相続との違いは、相続人が亡くなったタイミングが「相続税申告を終えた後かどうか」です。
相似相続は、遺産分割から相続税の申告まですべて終えた後に、2回目の相続が発生した時に使います。
数次相続は、被相続人の遺産分割を終えていない時に次の相続が発生することなので、両者は別物です。
それぞれ相続時の手続き方法も異なるため、名称を間違って覚えてしまわぬようご注意ください。
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不動産相続時に数次相続が発生したら?注意点を解説
数次相続の手続きは一般的な相続手続きとは異なり、少々複雑です。
数次相続が発生した際に落ち着いて対処できるよう、あらかじめ注意点を確認しておきましょう。
相続税申告と納税義務が引き継がれる
数次相続の注意点としてまず挙げられるのが、相続税申告と納税義務が継承されることです。
国税通則法および相続税法では、申告義務のある方が手続きの前に死亡した場合、その相続人が申告および納税義務を引き継ぐこととされています。
たとえば父が亡くなり、長男と次男で遺産分割協議を進めている最中に、長男も亡くなってしまったとしましょう。
この場合は、長男がおこなうはずだった相続税の申告と納税を、長男の妻と子どもがおこなうことになります。
相続税の申告期限が延長される
相続税の申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内におこなわなければなりません。
しかし、相続税を納税するはずだった方が申告前に亡くなった場合は、申告期限が延長されます。
具体的には、「納税義務者の死亡を知った日の翌日から10か月以内」に納税すれば良いとされています。
なお、1回目の相続において申告期限が延長されるのは、2回目の相続における相続人のみです。
1回目の相続で相続人に該当せず、2回目の相続で相続人になった方は、申告期限が延長されない点に注意しましょう。
数次相続であっても相続放棄ができる
数次相続であっても、相続放棄を選択することが可能です。
相続放棄とは、はじめから相続人でなかったものとみなし、財産の相続権を放棄することを言います。
相続では、現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金といったマイナスの財産も取得することになります。
プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが大きい場合は、相続放棄の選択を視野にいれても良いでしょう。
なお数次相続では、1回目の相続と2回目の相続において「放棄」と「承認」をそれぞれおこなえます。
「マイナスの財産が多い1回目の相続は放棄し、2回目の相続は承認する」といったことが可能です。
ただし、2回目の相続を放棄すると相続権がなくなるので、最初の相続も承認されない点に注意しましょう。
基礎控除は増えない
相続税には基礎控除が設けられており、法定相続人の数が増えるほど控除額も大きくなります。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば相続人が1人の場合、基礎控除額は3,600万円となり、遺産増額が3,600万円以下であれば相続税は課税されません。
数次相続は本来相続人でなかった方も相続人になるため、「基礎控除額も増えるのでは」と考える方も多いでしょう。
しかし、1回目の相続が発生した時点での法定相続人の数を用いるため、数次相続だからといって人数が増えることはありません。
相続税の計算をおこなう際は、1回目の相続と2回目の相続はわけて考えるようにしてください。
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不動産相続で数次相続が発生した場合の手続き方法
最後に、不動産相続で数次相続が発生した場合の手続き方法について解説します。
①相続人と相続財産を確定させる
相続が発生して遺産分割協議が必要となったら、まず相続人を確定することから始めましょう。
相続人は、被相続人の出生から死亡までが記載された戸籍謄本を取得することで確認できます。
数次相続においては、最初の相続だけでなく次の相続における相続人も確定しなければなりません。
誰か1人でも欠けた状態でおこなわれた遺産分割協議は無効となり、やり直しが必要になるためご注意ください。
相続人を確定できたら、現金や預貯金、不動産、借金、未払金など、相続対象となある財産をすべて確定させます。
②遺産分割協議をおこなう
相続人と相続財産の確定が済んではじめて、遺産分割協議を進められるようになります。
遺産分割協議では相続人全員の同意が必要ですが、必ず同じ場所に集まっ話し合う必要はありません。
遠方に住んでいるなどで会うのが難しい場合は、電話や郵送、メールなどで連絡を取り、合意を得られれば良いとされています。
③遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成しましょう。
数次相続の場合、1回目の相続と2回目の相続の内容をひとつにまとめる方法と、相続ごとに分けて作成する方法があります。
また書き方にも注意が必要で、まとめて作成する場合は被相続人情報の下部に「数次相続の経緯」を記載しなければなりません。
別々に作成する場合でも、通常なら「相続人:〇〇」と記載するところを「相続人兼〇〇の相続人△△」と記載する必要があります。
④相続登記をする
不動産を相続する方は「相続登記」をおこなう必要があります。
相続登記とは、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する手続きです。
本来であれば、1回目の相続に対して登記をおこない、それから2回目の相続に対して登記をおこないます。
しかし中間の相続人が単独相続である場合にのみ、当初の名義人から最終の名義人へと直接名義を変更することが可能です。
これは「中間省略登記」と呼ばれるもので、手続きの手間が省けるほか、登録免許税を節約できるなどのメリットがあります。
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まとめ
数次相続とは、相続が2回以上重なって発生している状態のことで、決して珍しいものではありません。
一般的な相続とは手続きの流れが異なるため、注意点はしっかり理解しておく必要があります。
遺産分割協議書の記入方法も少々複雑なので、不安な場合は専門家に相談しながら手続きを進めると良いでしょう。
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